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コレスペハローワーク fileNo.4

福祉機器の勉強している私たちの先輩にあたる『なべ』さんに、気になる点を聞いてみました。

・現在どんな仕事をなさっているんですか?
「福祉機器開発のモニターをしています。福祉機器を実際に使い、改善点や感想などを企業に伝える仕事です。また最近は、先端科学研究センターで福祉機器についてのミーティングも行っています。ミーティングでは新しくできた製品の情報を提供しています。」
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・なぜその仕事をしようと思ったのですか?
「最初は、車いすのデザインや設計の仕事をしてみたいと思っていました。でも、その仕事をするには、自分の知識的にも難しいし、専門の学校に数年通わなくてはならないので諦めました。それから、中邑先生の福祉機器についての講義を聞いて、『自分もいろんな機器に助けられている。もっと他の人のためにもできることをしてみよう』と思っていた時に、先端科学研究センターの話を聞き、やってみようと思いました。」

・福祉機器の今の現状をご存じの範囲で教えて下さい。
「福祉機器は製品はあまり出回らなく、生産するコストが高いので高額なものが多いです。
ほぼ行政が購入を補助し負担金を少なくしてくれますが、なかにはその制度に認定されていないものもあるので、その場合には実費で買うことになります。なので新しく機器ができても認められるまで、購入できないということにもなりかねません。
 海外ではそのような制度が発達していて、日本よりも制約が少なく購入しやすいところもあります。今後の課題としてはさらに日本の制度を整備し、障害のある人にも優しい社会作りをしていく必要があると思います。」

・福祉機器とはどういうものですか?
「福祉機器とは、“自分の代わりになってくれるもの”であり、“自分の一部のようなもの”だと思います。福祉機器は、できないことや難しいことを可能にしてくれます。そんなものだからこそ、どういうものがいいのか、その機器が使えるのだろうか、本当にその人が必要としているのか、などいろんなことを吟味することが必要だと思います。」

・仕事が終わったときにはどんな気持ちになりますか?
「最初は仕事になれることに精一杯ですが、自分の意見をどうまとめるか試行錯誤して、やりとげた時には、達成感のようなものがあります。」

・東京大学の中邑先生の講義で福祉機器関係のことに関わることになりましたが、中邑先生の言葉・考え方で印象に残ったことは何ですか?
「一番印象に残ったことは、これからは障害をもつ僕たち「当事者」がもっとこうしてほしいなどと声を上げていくことが必要で、そのためには意見をまとめる力や伝える力をつけていけなければならないということでした。自分たちは与えれるのを待つばかりで、自分から動くということをしなくなりがちなので自分から行動することがいかに大切なことなのかを教わりました。」

・福祉機器開発で、企業と関わっているとお聞きしましたが、苦労されている点はありますか?
「周りの意見をどういう風に表現すれば伝わりやすいのかということです。自分たちには理解できても相手にきちんと伝わらなければ、開発の参考にはならないからです。
 あとは、調査のまとめ方です。どんなデータが必要なのかを考えることです。その機器によって伝える内容が違ってくるので、この場合にはどういうことが必要なのかを考える必要があります。」

・福祉機器開発は一人では出来ないと思いますが、東京大学や企業とのやりとりで大切なポイントを3つ教えて下さい。
「まずは“人の話を聞き取る”ことです。相手の話を聞くことはすぐにできるますが、ただ聞くだけではなく相手がどういうことを言いたいのか聞き取ることが大切です。分からなければその場で質問したり、それで分からなければ自分で調べたりなどしてしっかりと内容を理解し、自分のものにすることが知識となり役立つことがあるのではないかと思います。
 もう一つは“表現する”ことです。伝えたいことがあってもしっかり表現できていなければ、相手にきちんと伝わりません。福祉機器を利用した意見をまとめるときには大切になってきます。ただ使いにくい、操作が分からないといってもどのようにできないのかを書かなければ開発の参考にはなりません。言葉は一つ表現が変われば、全然違う意味になることがあります。自分も知識不足であまり伝えたいことを表現することにつまずくことがあります。そのときは周りの人に見てもらい、どのように感じたか、どういう風にとらえたのかなどを教えてもらい、しっかり理解してもらうにはどうしたらいいだろうと考えていくことが大事だと思います。
 最後は“積極的に行動する”ことです。ある程度まとめる力があっても行動を起こさないことには何も始まりません。仕事を受けている限りはどのようにしたら上手くいくのか、どうしたらよい形のものができるのかと常に考える必要があります。そして手順を一つずつ踏み、確実にこなしていくことが大切だと思います。内容が良くて早く提出できれば一番理想的だと思いますが、今は一つずつ仕事をしていき、少しずつ着実に成長できればと思っています。」

・中学生の頃は将来についてどう考えていましたか?
「中学生の時はただ好きなことをしていただけで、これがしたいということはありませんでした。将来について考え始めたのは高校生になってからでした。どんなことをしたらいいのかと考えていたときにコレスペができて、福祉機器のことを知りました。
 今考えると、自分の好きなことや得意なことを伸ばしていけば、それが何かに繋がると思います。」

・今後の抱負を聞かせて下さい。
「とにかく今の仕事に慣れて一生懸命やっていきたいというのが一番です。あとはまわりの人も巻き込んでいって、もう少し自分の能力をあげて仕事をしていきたいです。」

編集後記
「初めてのインタビューでとても苦労しました。取材させてもらったナベさんにはとても苦労をかけてしまったと思います。ごめんなさい 泣
 インタビューのテーマは『仕事』や『福祉機器』についてでした。私には遠いものに感じることについてだったので、とても勉強になりました。日頃からみなさんの仕事風景は眺めていますが、こんな風に実際に聞いたりすることはなかなかできないので良い経験になったと思います。これからも、色々なことを学び、経験して『私の仕事』といえるものを見つけていきたいなと思いました。
 最後にナベさん、どうもありがとうございました。」
by 小姫 

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