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「脳科学」の壁

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先日の学会で、認知機能障害を伴う、筋ジストロフィー患者に、脳トレを行うと、精神活動性があがったとの発表がありました。

任天堂DSにみる一連の脳機能トレーニングのドリルやゲーム。
「どのような教育をしたら、よい脳が作れるか?」

このような空前の脳ブーム。しかし、本当にそうなの?と疑問になったりしませんか?

一昔前、「ゲーム脳」というキーワードがありました。養護学校の廊下にも、チラシが這ってあったのを覚えていますが、現在では、これがなんの根拠もなかったことだと言われています。
「そういわれても、なんか、ゲーム好きな人って、変な人が多いような。。。」と印象をもって言われますが、実のところ、その印象が、脳機能実験と、根拠に乏しく結びついた結果が、一連のゲーム脳騒ぎだったようです。

脳トレの根拠になった研究はこんな話からです。

1)被験者に音読と単純計算をさせると、脳の前頭葉の血流が増大することが分かった。
2)前頭葉の機能低下が想定される認知症の16人に、音読と単純計算をさせると、認知機能の低下が抑制された。
3)認知症でない一般の人が音読や単純計算をすれば、認知機能を高めたり老化予防になったりするだろう。

これをみてみると、科学的だと、ついついうなずいてしまうのですが、この研究においても、「つっこみどころ」が満載なのだそうです。

2)と3)のところ。例えば、2)の過程では、研究ということで、対象者とのコミュニケーションが増えたからでないのでは?こうも考えられます。
また、筋肉トレーニングと同じく、トレーニングをすれば、脳もよくなると、思いがちですが、脳は筋肉とは違います。

そういえば、冒頭の、認知機能の患者さんへの脳トレで、効果があったという部分は、関わりが増えたとも考えられます。

一連の脳ブームに警鐘を鳴らすのがこの一冊。ぜひ読んでみてください

「脳科学」の壁 脳機能イメージングで何が分かったのか
 お茶の水女子大学教授 医学博士 榊原洋一 講談社+α新書

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