記事一覧

トップ > 書籍

「脳科学」の壁

ファイル 699-1.jpg

先日の学会で、認知機能障害を伴う、筋ジストロフィー患者に、脳トレを行うと、精神活動性があがったとの発表がありました。

任天堂DSにみる一連の脳機能トレーニングのドリルやゲーム。
「どのような教育をしたら、よい脳が作れるか?」

このような空前の脳ブーム。しかし、本当にそうなの?と疑問になったりしませんか?

一昔前、「ゲーム脳」というキーワードがありました。養護学校の廊下にも、チラシが這ってあったのを覚えていますが、現在では、これがなんの根拠もなかったことだと言われています。
「そういわれても、なんか、ゲーム好きな人って、変な人が多いような。。。」と印象をもって言われますが、実のところ、その印象が、脳機能実験と、根拠に乏しく結びついた結果が、一連のゲーム脳騒ぎだったようです。

脳トレの根拠になった研究はこんな話からです。

1)被験者に音読と単純計算をさせると、脳の前頭葉の血流が増大することが分かった。
2)前頭葉の機能低下が想定される認知症の16人に、音読と単純計算をさせると、認知機能の低下が抑制された。
3)認知症でない一般の人が音読や単純計算をすれば、認知機能を高めたり老化予防になったりするだろう。

これをみてみると、科学的だと、ついついうなずいてしまうのですが、この研究においても、「つっこみどころ」が満載なのだそうです。

2)と3)のところ。例えば、2)の過程では、研究ということで、対象者とのコミュニケーションが増えたからでないのでは?こうも考えられます。
また、筋肉トレーニングと同じく、トレーニングをすれば、脳もよくなると、思いがちですが、脳は筋肉とは違います。

そういえば、冒頭の、認知機能の患者さんへの脳トレで、効果があったという部分は、関わりが増えたとも考えられます。

一連の脳ブームに警鐘を鳴らすのがこの一冊。ぜひ読んでみてください

「脳科学」の壁 脳機能イメージングで何が分かったのか
 お茶の水女子大学教授 医学博士 榊原洋一 講談社+α新書

子どもをナメるな―賢い消費者をつくる教育 -中島 隆信 (ちくま新書)

「子供をナメるな-賢い消費者を作る教育」を読んで

「賢い消費者」ってなんのことだと思いますか?物事を自分の頭で考え、自分の意思で決定し行動できる人のことなのだそうです。勉強というのは「賢い消費者」になるためにすべきだと説明しています。
効率的な勉強をするには、勉強を好きになったり興味を持つといいと書いてあります。たしかに興味のあることだと進んで知ろうとするし、そこからまたさらに興味が広がるので楽しくて覚えやすいと思いました。なぜかというと、ある日、たまたま借りた本が歴史小説だったことから、せっかくなので読んでみることにしました。僕は本を読むのが好きなのですが、それまで、歴史小説とか経済小説とかは興味がなくてまったく読んだことがありませんでした。ところが読んでみると意外に面白くて「こんなに面白いならもっと読みたい」と気になるようになり、ほかにもいくつか読むようになると、前よりも少し歴史がわかるようになり楽しみが増えたことがあったからです。
ほかにも、消費することについて経済の考え方でたくさん触れられていて少し経済についても興味が湧いてきました。ほかの内容については興味があれば読んでみてください。
子どもをなめるな-賢い消費者をつくる教育

書評:しゅん

『風歩』

ファイル 321-1.jpg 「障害のある人の本を読んでみない?」と言われたとき、私は正直気が進まなかった。闘病記のようなものは今までずいぶん読んだし、感動したこともあったのだが、キレイな言葉が並んだ本は今はいらないと思ったからだ。しかし、読まず嫌いではせっかくのいい本との出会いのチャンスを逃してしまうかもしれない…と思い、読むだけ読んでみようと借りることにした。
 それが、『風歩』である。
 著者・森山風歩さんは筋ジストロフィーの女性である。年齢も私と近い。そのことで、何か共通点があるかな…と思えた。
 この『風歩』、表紙をひと目見ただけで、インパクトのある本だ。
 彼女自身の顔写真が載っている。キレイな人だと思った。大きく、力強い意志を感じさせる瞳も印象的だ。しかし、その瞳からは一粒の涙が流れている。その涙の理由が気になって、本を開いた。
 最初から最後まで、ガツンと来る内容である。
 まず、辿ってきた道のりが壮絶だ。家族からの虐待、学校でのいじめ…特に、家族からの虐待が書かれている部分は、客観的に読んでいる私にもショックが大きかった。私は当たり前のように家族からの愛情を受けて育ってきた(それでもつらいと思っていた)から、彼女の痛みは文面から感じ、想像することしかできないが、それだけでも心が痛かった。ただ、彼女はその【痛み】に甘んじているような人間ではなく、そこから自分の考えを見つけ、自らを育んでいく力を身につけている。そのせいか、心が痛む話を読んでいても、ショックではあるが、ただ悲しいお話で終わっていない。そこが、個人的には好きだ。
 そして、この本には、世間にありがちな、あるいは私たち当事者が作ってしまいがちな「障害者=困難に負けずに健気に生きる人」といったようなイメージをひっくり返すようなエピソードの数々が書かれている。それは、彼女と同じ「障害者」である私が見ても目を丸くするようなものだ。それらはとてもハチャメチャで痛々しくも見える。だが、誤解を恐れずにいえば、私は彼女のその姿に尊敬や羨望も覚えた。それは、「生き方を自分で選んでいること」、「経験して得たことを、自らの血肉として生かすこと」に対してのものである。私に決定的に足りないものを、彼女は持っている。それが時として自らの肉体的寿命を縮めるような方法であったとしても、私は彼女をすごいと思うし、とても眩しく見えた。
 表紙の彼女の涙には、悲しみや絶望、苦悩が見えるような気がした。あるいは、過去との決別の涙か…読むたびに、その涙の理由が違っているようにも見える。ファイル 321-2.jpg
 この本を読む前に、私と彼女には何か共通点があるかもしれない…などと思っていたが、読み進めるうちにむしろどんどん離れていくような気がした。けれど、彼女の紡ぐ言葉は、痛いくらいに確かな説得力を持って私の中に入ってくる。それは、先述したように、彼女が「生き方を自分で選び」「経験から得たことを語っている」からであると思う。
 この『風歩』は、障害を持たない人たちにももちろん読んでほしいが、障害当事者にもぜひ読んでもらいたいと思う。今までの自分と向き合うきっかけになるはずだから。
風歩

JJNスペシャル「NPPVのすべて これからの人工呼吸

ファイル 310-1.jpg医学書院より、下記書籍が出版されました。

JJNスペシャル
2008年09月号 (通常号) ( No.83)
NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)のすべて これからの人工呼吸
編:石川 悠加 国立病院機構八雲病院小児科医長

詳細はこちらから

本に掲載されている多くをコレスペイラストレーター陣が担当しましたよ!!
ぜひ一度ご覧下さい!
立ち読みページもあるよ

介護福祉機器テクノプラス

福祉機器の書籍を探しているかたに朗報です。!!
いままで、福祉機器を扱った月刊誌はありませんでした。今回、日本工業出版(株)より、「介護福祉機器テクノプラス」という雑誌が2008年1月(号)創刊されるそうです。
目次には、ベッド、入浴、コミュニケーションなど多岐にわたります。最新の情報を手に入れたい方はチェックです。

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ