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コレスペAT講座その3:「支援技術を導入するタイミングとは?」

“歩けなくなったから車いす”“話せなくなったからコミュニケーション機器”と、支援機器の導入では、出来ないことを出来るようにと「0か1か」で語られることが多い。そのため、車いすを使ったら病気が悪くなるのではと、支援機器の導入に不安を抱えている障害を持つ方がいます。
 車いすを使い始めて数年になるBさんは、導入当時のことを振り返り「イヤでイヤでしょうがなかった。泣いていると車いすをゴミに出すからと母親に怒られたこともあった。」「でも車いすってなに?どれどれと仲間が集まってくるようになり、何より皆と同じように歩けることが一番嬉しかった。」と、次第に車いすへの感じ方が変わってきたことを教えてくれました。
 支援者が支援機器を利用していく時に、自分で出来たほうがよいだろうと、ついついその価値観を押し浸けていないでしょうか?片マヒ患者では、以前から更衣訓練や整容動作などADLが何よりも優先されてきました。しかし、
“袖を通すのが楽しいのでしょうか?”
自分で出来たほうがよいのかもしれませんが、15分もかかってようやく服を着た頃には、外に出かける意欲は半減しているかもしれません。このような身体能力の延長線上で活動をみていくと、いつしか、患者・家族、その支援者までもが“しょうがない”と八方ふさがりになってしまいます。進行性疾患に限らず、脳性マヒや脊髄損傷、片マヒなど、誤用・過用で二次障害を引き起こす例を作り、または高齢者の場合においても活動制限を強くしてしまうのです。