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現場実習開始

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さて、高等部1年生の現場実習がはじまりました。
テーマは・・・?
「ザ・調査」
みんなの普段気づかないことを、3人それぞれで、できることを分担してみました。
売店で一番売れている飲み物はなんだろう?カップラーメンではどうだろう?と売れ筋の商品を、お店の人に聞いてくるのが目的。
それぞれ、インタビュー係・書記・カメラ係と役割を分担しました。
「仕事ってなんだと思う?」との問いに、「わからない」と一同でしたが、こうしたそれぞれの役割が、困っている人と結びついた時のお礼が積み重なって仕事になるんだよとの話に、なにかを感じたようです。
売店のおばさんや、周囲のみんなに声をかけることに緊張しながらも、なんとか目的を達成したみんな。(すごいぞ!!)
クラスの一人、よしたけくんは、「だまってしまった。先生に聞ければよかった」との感想。
「だまるのはわるいこと?」と質問したところ、一同口をそろえて「わるいこと」と。。でもどうでしょう?だまることがわるいことではなく、予期しない行動時に、どうしたらよいかを事前に準備しておくのも必要ではないかと感じます。

筋ジスの彼らの多くが”できないことをだめなこと”と、捉えていることがあります。しかし、それでは、やってみたいという、思い(気持ち)の種は、なかなか発芽しにくいのです。水をやらないと、甘くなるトマトはありますが、その前に必要な環境支援があるのと感じます。

コレスペAT講座その2:「IT活用支援のポイント」

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こうした情報化の作業では、現在のところIT機器を操作するという“人の努力”が欠かせません。そのため、「キーボードが操作できない」「表示画面が見えない」「表示されている意味が理解できない」などと、本来、一人ひとりが、わかりやすい形で情報を得られるはずが、IT機器のルール(制約)によって情報取得が困難となっています。これが“デジタルデバイド”と呼ばれる問題です。
IT利活用支援は、障害の種類や疾患に左右されることなく、すべての人を対象として行われる必要があります。作業療法では、利用者が求める活動手段の一つとしてIT利活用が選択された場合に、利用者がわかりやすい形で情報取得が可能な支援をしていきます。

「孫の顔がみたい」という高齢者の要望に対して、みなさんなら、どのような作業を行っていくでしょうか?ここでは、携帯電話で孫の写真を送ってもらうという選択肢を例にして、支援のポイントを探っていきます。
○ Point1.「機器利用が目的ではない」
:「携帯電話を利用すると、写真がみられるようになる」と、ついつい、その道具の持つ即効性の効果に視点を奪われていないでしょうか?道具には期待される効果が含まれています。しかし、IT機器の導入だけが目的ではなく、利用者の生活のあり方にどのような効果をもたらすのかを、常に考えていく必要があります。
○ Point2.「選択肢を一つに絞らない」
:携帯電話の利用だけが、目標を達成する手段ではありません。当然、直接会いにいく方法もありますし、手紙や他のIT機器の利用も考えられるはずです。しかし、“携帯電話をどうやって利用するか?”の視点で支援が始まってしまうと、なかなか選択肢を広げられる考えに結び付きにくくなります。何の活動支援なのかと、一歩下がって、地図を広げてみることが必要です。
○ Point3.「機器利用は、身体的側面と利用者のこだわりで決定される」
:“高齢者だから、この携帯電話”と機器導入が進められることがあります。しかし、必ずしも障害や疾患特性にのっとったマニュアル的な機器導入にはなりません。利用者の運動・知覚・認知的側面の評価から、複数の選択肢があげられ、そして利用者のこだわりによって活動手段が決定されます。
○ Point4.「機器操作は、姿勢とのバランスです」
:IT機器操作では、上肢操作と視覚と道具の問題がとりあげられますが、机の下の様子はどうなっているでしょうか?作業活動では、常に姿勢との協調が行われています。例えば、携帯電話であれば、画面とキーボードが一体なため、上肢操作と視線を作り出す姿勢との関係が制約されてしまいます。機器利用の支援では、机の高さや道具そのものの持つ環境特性と姿勢と上肢活動のバランスを考えます。
○ Point5.「利用者のこだわりにこだわりを」
:携帯電話が、電話の利用以外に、写真をおくる機能など汎用性にすぐれているといっても、“やはり手紙のほうがいい”という利用者のこだわりがある場合には尊重されるべきです。しかし、けしてIT機器利用を推し進める話ではありませんが、利用することで思いが変化することがあります。ニーズはあるのではなく、ニーズは環境によって作られる側面もあるのです。
○ PointFinal.「習うより慣れろは難しい」
:インターネットや携帯電話など、IT機器の操作は、一度覚えてしまうと、さほど難しいものでありません。しかし、高齢者や認知機能に障害を抱える方にとって、慣れることがバリアになっていることがあります。操作方法を丁寧に指導する試みもありますが、利用者がわかりやすい手段に変更することも必要です。今の方法が絶対でありません。常に手段を見直していくことが、利用者の生活のしやすさを追求する大切な視点です。